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映画『天城越え』あらすじ・感想

松竹

映画『天城越え』は松本清張の小説を原作として、思春期の少年が抱える異性への複雑な感情が引き起こした事件を描いています。当時まだ28歳だった田中裕子が艶やかで、どこかはかな気な女性を好演しているところが見どころです。

  • 大塚ハナ:田中裕子
  • 小野寺建造:伊藤洋一 (少年時代)/平幹二朗 
  • 田島(元)刑事:渡瀬恒彦 
  • 監督:三村晴彦
  • 脚本:三村晴彦、加藤泰
  • 原作:松本清張
  • 配給:松竹
  • 公開:1983年2月19日
  • 上映時間:99分
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映画『天城越え』あらすじ

昭和15年6月、天城山中で流れ者の土工が刺殺された。警察はハナという女給を逮捕し、状況証拠だけで強引に自白させる。裁判は無罪となったが、獄中で肺炎を起こしたハナは、二度と外に出られないまま息を引き取った。

それから40数年たち、当時ハナを逮捕した田島という元刑事が小野寺建造を訪ねる。田島は自分の思い込みでハナを容疑者にしてしまったことを悔やみ続けているが、事件の直前までハナと一緒にいた少年が、なぜ執拗に土工を刺殺したのか? その動機が未だにわからないと言う。小野寺の胸には、遠い少年の日に出会ったハナが思い出される。

感想:アラサーの田中裕子が放つ強烈なお色気

劇中では同じようなシーンが2度繰り返されています。1度目は建造の母が叔父と交わる場面、2度めはハナが土工を相手に交わる場面。そのどちらも多感な年頃だった建造にはショッキングな場面でした。

男の子にとっていちばん身近な女性は母親ですが、その一方では、母親に異性を認めたくないという気持ちも強くあります。その母親が男と、しかも叔父との現場を目撃したことは、14歳の建造にとってこの上ない衝撃に違いありません。

母も女であることを頭の片隅では理解しながら、女としての母の姿を心は受け入れられなかった。これが土工殺しの下地になっています。

また、若いころの男が年上の女性に好意を抱くことは珍しくありません。それは成熟した女性の中に、母親の影を見ているのかも知れません。

建造が天城峠で出会ったハナも年上の、しかも、それまで身の回りにはいなかった艶やかな女性。そんな女性が自分の擦りむけた足を膝に乗せて手当をしてくれるんですから、建造が異性として「反応」したのもムリありません。

淡い恋心を抱いたハナと土工との場面は、建造に母と叔父も連想させたに違いなく、土工への殺意は母を奪った叔父への憎しみが合わさったものだったのでしょう。その衝動は思春期という多感な時期だからこそ、我を忘れてしまうほど強烈でした。

この映画は田中裕子が魅せる、昔風に言えば蓮っ葉で、はかな気な色気が見どころです。この作品で田中裕子のお色気にやられた方は、高倉健と共演した『夜叉』も必見です。

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