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『家族はつらいよ』:妻に熟年離婚を切り出されないようにするには?

家族はつらいよ
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作品概要

『家族はつらいよ』は3世代同居の平田家に巻き起こる家庭内騒動を描いた喜劇映画。2013年の映画『東京家族』と同一キャストのまま、山田洋次監督が新たな喜劇シリーズとしてメガホンを取りました。

主なキャスト

  • 周造:橋爪功
  • 富子:吉行和子
  • 幸之助:西村雅彦
  • 史枝:夏川結衣
  • 成子(しげこ):中嶋朋子
  • 泰蔵:林家正蔵
  • 庄太:妻夫木聡
  • 憲子:蒼井優
  • 沼田:小林稔侍
  • 加代:風吹ジュン

その他の概要

  • 監督:山田洋次
  • 脚本:山田洋次、平松恵美子
  • 制作・配給:松竹
  • 公開:2016年3月12日
  • 上映時間:108分

あらすじ

平田家の祖父・周造は、ある日とつぜん長年連れ添った妻・富子から離婚届を突き付けられる。周造の一挙手一投足に嫌気が差したというのが理由だった。

家族会議の席、激昂した周造は倒れてしまうが、次男・庄太の婚約者で看護師の憲子が素早い応急処置を施したため大事に至らずに済んだ。

感想:

今作のテーマとなるのは「熟年離婚」。厳密な定義はありませんが、一般的には婚姻年数が20年以上の夫婦が離婚する場合を指すようです。

2021年度の離婚件数は184,386件。そのうち熟年離婚は38, 968件で全体の約21%、つまり離婚する5組のうち1組は熟年離婚です。

この状況は、その前の数年度を見ても大きく変わりません。それだけ近年の日本では熟年離婚が多くなっています。

そして長年連れ添った夫婦が離婚する原因としては、次のような理由が多いそうです。

  • 配偶者がいつも家にいる
  • 配偶者の浮気
  • DV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラ
  • 酒乱や浪費癖
  • 介護への不安

夫は定年退職すると悠々自適の毎日で満足でしょうが、妻にとっては今までの生活ペースを乱されて鬱陶しくてしょうがないでしょうね。しかも家にいるくせに家事も手伝わず、手を焼かせるだけの「濡れ落ち葉亭主」もまだまだ多いようです。

昔のテレビCMに「亭主元気で留守がいい」というのがありましたけど、あれは全国の奥様方の本音をあらわした名キャッチコピーでした。

浮気は男女問わず可能性がありますが、どちらかというと女性のほうが浮気のチャンスは多そうです。男性が浮気をするとなるとそれなりの費用が必要ですから、ある程度の資産がないと女性からは相手にされないでしょう。

周造さんも小料理屋の加代さんに「愛してるのは君だけだよ」なんて言ってましたが、預金を崩しているような貧乏老人じゃ迷惑なだけでしょうね。

DVやモラハラについては、近年になってかなり表面化してきた問題です。あからさまに暴力を受けていたり尊厳を踏みにじられるような言動を取られるなら別れるほうがいいと思います。ただ厄介なのは、亭主関白とモラハラの区別が曖昧なところです。

周造さんは昭和気質の古い亭主関白なので、妻の富子さんに対する態度も傍若無人。そもそも自分が脱ぎ捨てた靴下を拾わせるなんてのは、モラハラと言われてもしょうがない態度です。

こうした日本的な亭主関白を見た外国人が、欧米人ならメイドにすらそんな態度はとらないと言ったとか、昔なにかで読んだことがあります。

酒乱や浪費癖については、完全に依存症という病気です。これは男女どちらもあり得る問題ですが、治療の効果が上がりにくい病気でもあります。配偶者の治療に協力しても効果が望めないようなら、離婚を選択するしかないかもしれません。

また、離婚に踏み切るきっかけとしては、

  • 子育てが終わった
  • 生活費の心配がない
  • 他の異性と両思いになった

というところが多いようです。

今作でも富子さんが離婚を決意したのは、周造がリタイヤして毎日家にいるようになってから。「おとうさんと一緒にいるのが、わたしのストレスなの」と言う富子さんの言葉に、激しく首を立てに降る奥様方は多いんじゃないでしょうか?

昔は男らしいと思った仕草も、今は自分の存在を軽んじられているように思え、子育ても終わったし生活の心配もないから離婚すると富子さんは言います。熟年離婚の典型的なパターンを盛り込んだ設定ですね。

世間の奥様方にとって、もっとも大きな離婚のハードルとなるのが生活費。弟の印税収入が入る富子さんと違って、暮らしが立たないから離婚に踏み切れない奥様方は多いでしょう。とくに専業主婦として過ごしてきた妻ほど、別れたいけど別れられないジレンマに悩むことになります。

また運よく夫が先立ってくれても、そのままだと嫁として義父や義母の介護をしなければならず、自分の老後を他人のために消費されることにもなりかねません。

そのため近ごろ注目されているのが、死別した夫との「死後離婚」。

死後離婚が成立すれば義父や義母とも姻族関係が切れるので、介護や扶養の義務がなくなり晴れて自由の身となることができます。しかも、夫の遺産相続や遺族年金には影響ないので奥様マル儲け! 亡夫が墓の中で歯ぎしりしている姿が目に見えるようです。

今これを読んでいる奥様、「いいこと知った!」と思ってませんか? くれぐれも早まって夫にDokuを飲ませたりしないように。

死後離婚についてこれ以上の説明は控えますので、興味のある方はハリキッテ検索してください。

熟年離婚を回避するのに必要なのは、感謝をちゃんと伝えること

意外と離婚の意志が硬かった富子さんが心変わりした理由は、孫の存在と周造からはじめて言われた感謝の言葉でした。

富子さんは周造が救急車で運ばれたあと、孫からの電話に涙を流します。離婚して家を出たら気楽な毎日が待っていると思っていたのに、そうなれば孫たちとも離れてしまうことになる。

今まではあたりまえのように一緒に暮らしていた日々が、ほんとうはかけがえのない大切な時間だったと気づいた瞬間でした。

退院した周造は離婚届を渡して、はじめて感謝の言葉を口にします。不器用な言い回しですが、それだけに照れながら伝えた周造の言葉に深い思いを汲み取った富子さんは、離婚届を何度も何度も破ってしまいました。

日本の夫は妻に愛情や感謝を伝えるのが下手ですが、もう少しなんとかそういう気持ちを伝える努力が必要ですね。と、今となっては遅すぎる自分が言うのもなんですが……。

とは言え、欧米人のように日頃から「I love you!」と言ってハグしあうくせに、いざ離婚となったら多額の慰謝料を請求するような文化はどうかと思いますけどね。

くすっと笑えながらも、ちょっぴり考えさせられる良質なホームドラマ

『家族はつらいよ』シリーズは熟年離婚や、高齢者の運転と独居老人(2作め)、専業主婦のささやかな自由(3作め)など家庭内で巻き起こる騒動を描き、昭和のころのホームドラマを観るような気持ちで楽しむことができます。

今作はシリーズ1作めですが、出演者はすでに『東京家族』で共演した面々ばかりなので芝居のテンポもこなれている様子が伺え、面白おかしく、そしてホロリとする時間を楽しめます。

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