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映画『東京家族』は小津安二郎『東京物語』の予習として観るのもあり

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作品概要

映画『東京家族』は『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次監督による、小津安二郎監督『東京物語』のリメイク作品。いくつかの設定変更はありますが、現代ふうにアレンジされているため、古い映画が苦手という方にも見やすく、『東京物語』と観比べてみると2倍楽しめる作品になっています。

主なキャスト

  • 周吉:橋爪功
  • とみこ:吉行和子
  • 幸一:西村雅彦
  • 文子:夏川結衣
  • 滋子:中嶋朋子
  • 庫造:林家正蔵
  • 昌次:妻夫木聡
  • 紀子:蒼井優
  • 沼田:小林稔侍
  • かよ:風吹ジュン
  • ユキ:荒川ちか

その他の概要

  • 監督:山田洋次
  • 脚本:山田洋次、平松恵美子
  • 制作・配給:松竹
  • 公開:2013年1月19日
  • 上映時間:146分

感想:不況の時代は再び大家族に戻るのが正解かも?

最初、今作のキャスティングを見て『家族はつらいよ』と同じじゃんと思ったら、じつは今作が先に作られ、そのキャスティングのままで『家族はつらいよ』シリーズが作られたと、あとから知りました。同じ劇団員が違う演目を演じるみたいなもんですね。

今作は日本映画の名作、小津安二郎監督の『東京物語』を現代ふうにリメイクした作品ですが、ずいぶん前にオリジナルの『東京物語』を観たときは、なんだか淡々としてつまらない映画だなぁと思ったものでした。

でも今作を観てから『東京物語』を見直すと、山田監督が『東京家族』ではどこを変更したのかなど比較しながらおもしろく観ることができました。できれば、これら2作を観比べるのがオススメです。

映画『東京物語』レビュー:つまらないと思っていたけど、あらためて観るといいんだな、これが。
作品概要映画『東京物語』は1953(昭和28年)に公開された小津安二郎監督の代表作のひとつ。地方で暮らす年老いた両親と、東京で暮らす子どもたちのあいだに生じる心の距離感を淡々と冷徹に描いています。主なキャスト 平山周吉:笠智衆 とみ(周吉の...

オリジナルの『東京物語』が公開されたのは1953(S28)年ですから、今作は60年もの年月を経てリメイクされたことになります。そのあいだ『東京物語』はドラマとして何度かリメイクされましたが、映画としては初。しかし山田洋次監督は小津安二郎監督をあまり評価していなかったという話もあります。じゃ、なんでリメイクしたんでしょうね?

それはさておき、

オリジナルの『東京物語』は戦後の復興期から高度経済成長期へと続く日本経済の黄金時代が背景でしたが、平成に作られた『東京家族』は不況続きの暗黒時代。そうした時代背景の違いはあっても、子どもが成長するにつれて身も心も親から離れていくのは変わらないようです。

とくに今作では次男の昌次と父・周吉との確執を描くことで、世代の違う父と息子の価値観の違いをうまく表現しています。

教員として堅実に生きてきた周吉にとって、芸能界の片隅で裏方をしている昌次は気楽なフリーターにしか見えません。とくに長男の幸一が開業医としてしっかりしているだけ、父親は次男を出来の悪い息子としか思えないようです。

う〜ん、身につまされます。

劇中では周吉が昌次の同級生を引き合いにするシーンがありますが、これはぼくも親からよくやられました。「近所の○○さんの息子は」とか、なにかにつけて他人と比較される経験をイヤと言うほどしました。そんなダメ息子なぼくにとっては、親子の断絶を招いているのはそっちのほうだろと言いたくなりますが、その親も今は亡いので文句の言いようがありません。

どうやら親は子どもを自分の「作品」と思いたがる傾向があるようですね。油絵なら上から絵の具を重ねればいいし、焼き物なら叩き割ればいい。でも、子どもは無かったことにできない。そんなジレンマが(一部の)親にはつきまとうようです。

でも、働き方や生き方なんて時代によって違うのがあたりまえ。ぼくが若い頃だってプログラマやシステムエンジニアなんて知る人ぞ知るマイナーな職種だったし、ましてやYouTuberやブロガーなんて職業が生まれることは想像もできませんでした。

これからは今まであった仕事がドンドンなくなったり、反対に今までなかった新しい仕事が次々と生まれてきます。今の若い親御さんだって、子どもたちが将来どんな生き方をするかは予測できないし、それが自分の価値観と相容れないことも多いでしょう。

人は自分が過ごしてきた時代の価値観でしか生きられないので、親と子の心が離れていくのは自然なことかもしれません。むしろ、親子がバッチリ理解しあっているほうが不自然かも。

親と同居するのはパラサイト(寄生)?

古い昭和的な観念では、男は家長として家族を養う収入を得ることが当然でした。しかしそれは、男がじゅうぶんな収入を得られた時代の幻想かもしれません。

就労年齢になっても親元で暮らしている人を「パラサイト」と読んで揶揄する風潮が掲示板サイトやSNSで見られたことがありました。自立している人から見れば親と同居しなければ暮らせない人は無能な負け組にしか見えないかもしれません。しかし、今の日本でこれだけワーキングプアが増えたのは、個人の責任とは言い切れません。

今作でも老父の周吉は公務員として安定した生活を送ってきましたが、長男の幸一は開業医といってもあまり余裕があるようには見えません。長女の滋子が営む美容院もこれからはチェーン店の進出などで顧客が減っていくかもしれません。

ましてや昌次が身を置くショービジネス界も感染症や災害があればすぐに収入が途絶えますし、紀子が務める小さな書店などいつ潰れるかわかったもんじゃありません。

そう考えると日本はこれまでの核家族化から、3世代同居など大家族化に戻っていくほうが正解かもしれません。