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男はつらいよ 幸福の青い鳥(37作)ただ長渕剛と志穂美悦子の記念碑的な作品としか

男はつらいよ
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作品概要

「男はつらいよ 幸福の青い鳥」は1986年12月20日公開のシリーズ37作目。

当時、交際が噂されていた志穂美悦子と長渕剛を起用した話題作となりました。そのため寅次郎は若い二人のあいだを取り持つ役柄となり、主役というより助演的な立ち位置になっています。

長渕剛ファンにとってはご夫妻の記念碑的な作品として◎でしょうが、寅さんファンとしては意味不明なキャスティングや設定変更に悩む問題作です。

評価:★★☆☆☆

主なキャスト

  • 車寅次郎(主人公):渥美清
  • さくら(妹):倍賞千恵子
  • 竜造(叔父):下條正巳
  • つね(叔母):三崎千恵子
  • 博(さくらの夫):前田吟
  • 満男(寅次郎の甥):吉岡秀隆
  • 健吾:長渕剛
  • 美保:志穂美悦子

あらすじ

九州の筑豊を訪れた寅次郎は、ひいきにしていた旅芸人一座の座長が亡くなったことを知る。焼香に訪れた座長の家で、一座の花形女優だった大空小百合こと美保と再会。一人で生きている美保に、なにかあったら柴又の「とらや」を訪ねるように言って別れた。

寅次郎を頼って上京した美保は何度も「とらや」に電話をするが、寅次郎はまだ柴又へ帰っていなかった。気落ちして体調を崩してしまった美保を、健吾という看板屋の絵描きが助ける。

元気になった美保は「とらや」に下宿しながら、近所の中華料理屋で働きはじめた。暮らしが落ち着いた美保は健吾に会いに行くが、強引に求めてくる健吾とケンカ別れしてしまう。

感想・考察

山田洋次監督は東洋経済ONLINEのインタビューで、80年代は地方の衰退が顕著な時代だったと述懐しています。

小泉内閣あたりからでしょうか。地方の小さなお店がどんどん潰れてしまった。大型のスーパーやショッピングモールが、それまで小さなお店が細々とあげていた利益を根こそぎ奪っていった。商店街が消え、地方から賑わいが消えたのは当たり前でしょう。

「男はつらいよ」の地方ロケで抱き続けた疑問
――シリーズの後半からは、過疎化が進む地方の現実が映し出されます。伊豆諸島の式根島(36作『男はつらいよ 柴又より愛を込めて』1985年公開)や北海道の知床(38作『男はつらいよ 知床慕情』1987年公開)、宮…

寅次郎が美保と再会した筑豊は、かつて炭鉱で栄えた地域。美保が暮らす家も炭鉱住宅だったところです。今作のサブタイトルが1977年の「幸福の黄色いハンカチ」をもじっていることから、ここを北海道の夕張と並べていることがわかります。

また、朝日印刷の工員トシオの父親がクリーニング店を継がせるために上京してきたシーンでは、「近ごろは大小の店がドンドン出てきて客はとられますし苦労はしてます」と、けっして経営が楽ではないと、さくらに言います。

このやりとりは28作目「男はつらいよ 寅次郎紙風船」で、寅次郎の同級生でクリーニング店を営む安夫が「チェーン店が出るたびに売り上げが落ちて、なんべんも店を畳もうと思ったよ」と言うシーンとも重なります。

タコ社長はオフセット印刷機を入れてから「余剰人員」が出ていると言って、トシオが辞めても仕事に支障はないが、退職金を払わなければならないと頭を抱えます。

利益を食いつぶす従業員を「余剰人員」と言うなら、税金を食いつぶす老人や障がい者は社会の「余剰人員」でしょうか。

それでもタコ社長はトシオが辞めたら退職金を払うと言っています。今どきは長年勤めた職場を辞めても退職金など出してくれるところは稀になったんじゃないでしょうか。

景気のいい頃は「企業は人なり」と言いましたが、不景気になると「人はコストなり」になってしまいました。そんな世知辛い世相も喜劇として見逃さずに拾っています。

なぜ、長渕剛と志穂美悦子をフューチャーする必要が?

てっきり長渕剛と志穂美悦子は今作がきっかけで結婚したと思っていましたが、その前にテレビドラマで共演していたようですね。その撮影時に志穂美悦子が手を骨折し、長渕剛が病院に付き添ったことから交際が始まったそうです。

志穂美悦子は「キカイダー01」でビジンダーの人間体マリ役でデビュー。まだ18歳ころの彼女がミニスカートで派手なアクションシーンを行ったり、キカイダー01ことイチローに胸のボタンを外すように頼むお色気シーンもあり、お気に入りのヒーロードラマでした。

長渕剛は1977年にシンガーソングライターとしてデビュー。

当初は「巡恋歌」や「順子」などの女々しいフォークソングを歌っていましたが、その後は硬派にイメチェン。「乾杯」は披露宴での定番曲となるほど、全国の結婚式場で歌われる曲となりました。当時は耳にタコができるほど聞かされた人も多いのではないでしょうか。

理解に苦しむほど意味不明な設定変更

まるで志穂美悦子と長渕剛の交際を後押しするような今作、寅次郎はすっかり二人の間を取り持つ脇役に甘んじています。ま、それは若いカップルが出たときの定番パターンなんで、今さらどうこう言うつもりはありません。

それより今作では解せないポイントが2つあります。

ひとつは美保がいた旅芸人一座の名前が「坂東鶴八郎一座」から「中村菊之丞一座」に変更されていること。なんで変更する必要があるのか。「坂東鶴八郎一座」のままでいいじゃないかと思います。

それよりも解せないのは、一座の花形女優だった大空小百合が岡本茉利まりから志穂美悦子に変更されていること。

寅次郎は8作目「男はつらいよ 寅次郎恋歌」ではじめて小百合たち「坂東鶴八郎一座」と知りあい、その後も18作目「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」、20作目「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」、24作目「男はつらいよ 寅次郎春の夢」と、各地で一座と出会っています。

そのあいだ大空小百合は一貫して岡本茉利が演じてきたのに、なぜ唐突に志穂美悦子になるんでしょうか? そのまま岡本茉利を美保にすれば良かったんじゃないのかと、シリーズをとおして観てきた者にとって今回のキャスティング変更は理解に苦しみます。

いや、べつに志穂美悦子が悪いと言っているんじゃありません。ビジンダーさんに文句はありません。ただ、大空小百合とは違うキャラにしてほしかったというだけです。

また、美保が寅次郎と再会したときに「オレのこと、覚えてないかなぁ。おまえのお父っつぁんとよく酒のんだことがあるんだよ」と言うと、美保はようやく思い出したように「寅さん?」

いやいや、そこは会った瞬間「車センセ!」でしょうに。あの四角い顔を見ても思い出せないわけがありません。すっかり興ざめさせられる場面です。

山田洋次監督は、時どき理解できない設定変更をする悪い癖がありますね。作品の出来不出来は仕方ないとしても、もう少しファンの気持ちを考えてもらいたいものです。

一座の座長を演じていた吉田義夫は本作の公開直後に亡くなりましたが、その前に座長が死んだことにしているのも悪趣味な設定に思えます。

Amazonなどのレビューを見ても賛否両論の今作。長渕剛ファンにとってはご夫妻の記念碑的な作品として高評価でしょうが、寅さんファンとしては、べつに二人を持ち上げるような作品にしなくても、というのが正直な感想です。

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