作品概要
1982(S57)年にTBSテレビ系列で放送された『幸福の黄色いハンカチ』は、1977(S52)年の同名映画をテレビドラマ化したもの。主人公に菅原文太、その妻には泉ピン子を起用し、目的地を最北の稚内に変更するなど映画版とは一味違った作品となっています。
今作はテレビドラマ1時間枠×5回と時間に余裕があるため、ロードムービーとしての描写も映画版より充実しています。そこで道産子である当ブログ管理人が御当地ネタも交えながら、各話ごとにレビューを綴ってまいります。
第2話となる今回は温根湯温泉を舞台に、幸子とユミのあいだに生じた友情の亀裂が描かれています。
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主な作品データ
- 島勇作:菅原文太
- 光枝(勇作の妻):泉ピン子
- 幸子:田中好子
- ユミ:音無真喜子
- マコト:アパッチけん(中本賢)
- ヒロミ:光石研
- 製作:三船プロダクション、TBS
- 脚本:高橋正圀、朝間義隆、黒土三男
- 原作:ピート・ハミル 「黄色いリボン」
第2話レビュー:温根湯温泉を舞台に幸子の失恋が描かれる
冒頭はクマ牧場で子熊を抱いたりエサを与えるシーン。北海道のクマ牧場といえば登別クマ牧場が有名ですが、昔はあちこちに小規模なクマ牧場がありました。このシーンが撮られたクマ牧場がどこなのかはわかりませんが、ロケ地となった温根湯から車で20分ほど旭川よりのところにもクマ牧場がありましたから、そこかな? 違うかな?
しかし小熊を観光客に抱かせるとは、かなり大胆なサービスですね。心なしかクマを抱く菅原文太が少し緊張しているようにも見えます。
第2話は幸子とユミの友情にヒビが入ってしまったことや、勇作が光枝ではなく他のホステス(浅野真弓)に入れ込んでいたことなど、一人の男を巡る二人の女という構図がそれぞれ描かれています。
第1話のレビューでは映画版との違いとして、若い男女がマコトとヒロミ、幸子とユミの二人ずつに変更された理由を、幸子の失恋を詳しく描きたかったためではないかと推測しました。
映画版では朱美(桃井かおり)が自身の失恋を同僚から聞かされるというアッサリした演出でしたが、このドラマでは朱美を幸子に変更し、彼女が心の痛手を被るまでのエピソードが展開されます。
とは言え、マコトとヒロミが混浴の温泉で湯あたりするなどギャグ的なシーンもしっかりあります。
舞台となった温根湯温泉は道内でもよく知られた温泉地でしたが、今ではすっかり寂れてしまいました。ドラマの中に映る商店街もシャッター街となり、かつての賑わいは見るべくもありませんが、一行が宿泊したホテル「大江本家」は今でも営業中です。温根湯は北見から車で1時間弱なので、北見市内でホテルが取れなかった場合も便利です。
ドラマではまたお調子者のヒロミがドジを踏み、車のキーを閉じ込めてしまいます。これも昭和の車ではアルアルでしたね。ちなみにキーを閉じ込めてしまった「山の水族館」は「大江本家」と目と鼻の先ですが、ドラマの中ではしばらく車を走らせて距離が離れていることになっています。

ユミが一足先に東京へ帰ってしまったため、幸子も東京へ帰ろうとします。そのときの駅が留辺蘂(るべしべ)町にある金華(かねはな)駅。
土地勘のあるものにしてみれば留辺蘂駅とか西留辺蘂駅じゃなく、なんでわざわざ金華駅まで行くんだろうと思うんですが、そこはドラマの演出的に寂れた駅のほうが良かったんでしょうね。
その金華駅は2016年(平成28年)に廃駅、現在は信号所となっています。外観もドラマとは違い、ただの小屋みたいになってしまいました。
この駅で幸子はマコトたちに「こんなときは一人で居ないほうがいいよ」と諭され、このままみんなで一緒に旭川へ向かうことにします。勇作はこれからどうするか決めかねている様子。そんな勇作に一緒に行こうと誘う幸子の優しい表情が、キャンディーズの中でもスーちゃん推しだったぼく的に見どころでした。
ということで、第2話はここまで。
前回からのルートを辿ってみる
第1話のラストシーンはサロマ湖周辺を車で走っているところでした。そこから温根湯温泉までのルートはこうなります。
前回の網走からは国道39号線を走って北見市を経由するほうが近いんですが、そこはドラマの演出的な都合でしょうね。
第2話は温根湯温泉のPR的なエピソードとなりましたが、「大江本家」の周囲にはロケ地となった「北の大地の水族館」や「北きつね牧場」など見どころもあり、今でも道東周辺を観光するときは穴場的なスポットです。
ちなみにレンタカーで旭川方面へ行くときは、この先80kmほどガソリンスタンドはないので、温根湯で給油を忘れずに! じゃないと、次回のような羽目になります。
では、第3話のレビューでお会いしましょう。