作品概要
1982(S57)年にTBSテレビ系列で放送された『幸福の黄色いハンカチ』は、1977(S52)年の同名映画をテレビドラマ化したもの。主人公に菅原文太、その妻には泉ピン子を起用し、目的地を最北の稚内に変更するなど映画版とは一味違った作品となっています。
今作はテレビドラマ1時間枠×5回と時間に余裕があるため、ロードムービーとしての描写も映画版より充実しています。そこで道産子である当ブログ管理人が御当地ネタも交えながら、各話ごとにレビューを綴ってまいります。
第3話は温根湯温泉を離れ、一行は旭川から増毛町へ。途中でヤクザに絡まれたりキャンプを楽しんだりと盛りだくさんな1日を過ごしますが、翌日ひょんなことから勇作の過去が知られることになりました。
- ドラマ『幸福の黄色いハンカチ』(菅原文太主演)レビュー第1話
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主な作品データ
- 島勇作:菅原文太
- 光枝(勇作の妻):泉ピン子
- 幸子:田中好子
- ユミ:音無真喜子
- マコト:アパッチけん(中本賢)
- ヒロミ:光石研
- 島謙造:三船敏郎
- 製作:三船プロダクション、TBS
- 脚本:高橋正圀、朝間義隆、黒土三男
- 原作:ピート・ハミル 「黄色いリボン」
第3話レビュー:ふだんの暮らしにある小さな幸せ
温根湯温泉を出た一行は旭川に向けて走りますが、マコトがヤクザ風の男に殴られたりヒロミが車をガス欠させたりと、早々に波乱万丈の展開。
友人のユミとの友情にヒビが入った幸子は朝のうちこそ落ち込んでいたものの、この頃にはすっかり元気を取り戻します。やっぱり悲しいときは一人でいるより、誰かと過ごすほうがいいのかも知れませんね。
その日は唐突にヒロミの誕生日ということで、4人は旭川でキャンプ。誕生日を祝ってもらうのは幼稚園以来と泣くヒロミですが、詳しいプロフィールは不明。そもそもマコトともどういう関係なのかハッキリしないままです。
ともあれ、マコト・ヒロミ・幸子はそれぞれ自分にとってのささやかな幸せを語り、勇作は光枝と一緒に過ごした日々を回想します。
旨いものを喰ったり、欲しい服を買ったり、家族と一緒に暮らしたり。そのときは特になんとも思わないような日常があとになってから幸せだったと気づく、なんてことはよくありますね。
『男はつらいよ』でも寅さんが「生きてて良かったと思うときがあるじゃない。そのために生きてんじゃないの?」という回がありますけど、ささやかな幸せのために生きるなんて、人生はつくづく割に合わないもんですね。
翌日は兄に会うと言う勇作のため増毛に向かう一行ですが、途中の検問に引っかかったことで勇作の過去が明らかになってしまいました。
ちなみに検問の警官役は『日本統一』などでお馴染みの菅田俊。今ではVシネマ界の重鎮ですが、当時はまだ菅原文太の付き人をしていた頃のようです。
連行された留萌所で勇作が服役していたと知りドン引きする3人。勇作は留萌から一人、増毛へと向かいます。
第3話は勇作と光枝の馴れ初めが中心の展開でした。映画版ではいつの間にか一緒になっている二人でしたが、このドラマでは勇作が強引に光枝と結婚したエピソードが描かれています。
光枝は祖母から「おまえは器量が悪いから、いつも笑っていろ」と言われたと勇作に話します。倍賞千恵子や夏川結衣では言えないセリフですね。やっぱり今作はあえて泉ピン子にしたのが正解です。
幸子に「奥さんてどんな人?」と訊かれた勇作も、「見てくれは良くないが、情があって、よく働く」と言います。こういう女性が男性にとっては理想的なのかも知れません。
もちろん、見てくれがいいに越したことはありませんが。
第3話のルートを辿ってみる
今回は温根湯温泉からキャンプをした旭川を経由し、検問から連行された留萌市までの移動。総距離220キロほどですが、温根湯から旭川まではノンストップなら車で2時間ほど。その途中の石北峠は昔から知られた景勝地ですが、春や秋は巨大なエゾシカがウジャウジャしているので、車で通るときは要注意です。
また、温根湯から上川町までの約80キロはガソリンスタンドがありません。ヒロミのようにガス欠にならないよう、温根湯で給油を忘れずに。
ではまた第4話のレビューでお会いしましょう!