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映画『ゼロの焦点』:高千穂ひづると有馬稲子の名演が光る!

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作品概要

映画『ゼロの焦点』は、戦後の東京で米兵相手の売○婦として生きた二人の女が、ようやくつかんだ幸せを結局は守りきれなかった切ない物語。

主演は新婚の未亡人を演じる久我美子ですが、助演の高千穂ひづると有馬稲子の演技が今作を見応えのあるものにしています。

主なキャスト・スタッフ等

  • 鵜原禎子:久我美子
  • 室田佐知子:高千穂ひづる
  • 田沼久子:有馬稲子
  • 鵜原憲一:南原宏治
  • 鵜原宗太郎:西村晃
  • 室田儀作:加藤嘉
  • 原作:松本清張
  • 監督:野村芳太郎
  • 脚本:橋本忍・山田洋次
  • 音楽:芥川也寸志
  • 配給:松竹
  • 公開:1961年3月19日
  • 上映時間:95分

あらすじ

禎子は広告代理店のエリート鵜原憲一と見合い結婚をした。新婚旅行から帰った憲一は引き継ぎのため赴任先だった金沢へ戻るが、帰京の日になっても帰らず行方不明になってしまう。

金沢を訪れた新妻の禎子は、憲一が曽根益三郎と名乗って田沼久子と暮らしていたこと、そして曽根は久子への遺書を残して崖から身を投げたことを知る。

わずか一週間の夫婦生活で夫のことを何も知らない禎子は、ひとり真相を求めて金沢を訪ね歩く。

感想・レビュー

ストーリーが「粗筋」過ぎて謎が残るばかり

前回の『砂の器」と同じく松本清張の小説を原作とした作品ですが、こうした作品にありがちな、原作を読めばわかるけれど、映画だけだと訳わからん的な作品です。

映画『砂の器』レビュー:いつの世も差別と偏見はなくならない
作品概要映画『砂の器』は、ハンセン病に侵されたために村を追われ、放浪の旅を続ける父と子に対する差別と偏見を描いた作品。松本清張の小説は現在までいくつもの作品が映像化されていますが、今作はそれらの中で最も人気が高く数々の賞を受賞した作品です。...

とりあえず少しでも理解しようと3回続けて観ましたが、それでも意味不明なところが残りました。

まず、憲一が室田の家と久子と暮らした家、それぞれ2枚の写真を持っていたのはなぜ?

憲一は金沢での久子と暮らした過去を精算しようとしたのに、わざわざ新居にこんな写真を持っていくのは不自然です。少なくとも、映画を観る限りは写真がなくてもストーリーに問題ありません。

また、禎子はなぜ憲一は自殺したのだろうと自問しますが、その前に、なぜ憲一は曽根という偽名を使っていたのかと疑問に思うほうが先じゃないでしょうか?

そのへんは原作を読めばわかるのかも知れませんが、それじゃあ映画としてはダメ! 映画は映画として、原作を知らなくても辻褄があうようにしてくれないと、観るほうに余計なストレスが残ります。

ストーリーの大まかな流れを「粗筋」と言いますが、この映画、ほんとうに筋が粗すぎるところが残念です。

と、最初から文句を垂れましたが、この映画がつまらないとは言ってませんよ。そうじゃないと、さすがに3回も観てられませんから。

高千穂ひづると有馬稲子が主演の久我美子を喰った!

3回も続けて観ても飽きなかったのは、佐知子役の高千穂ひづると、久子役の有馬稲子が良かったから。今作はぼくが生まれる前の作品なので彼女たちのことは初めて知りましたが、いっぺんに彼女らのファンになりました。

悪女の佐知子は普段はすました顔をしていますが、憲一の兄・宗太郎と対峙したときは宗太郎の鋭いツッコミに「えっ!」と目をパッチリ丸くするところが何度かあります。このときの表情がとてもチャーミングです。やっぱり、悪女は美人が演じるからいいんですね。

そして久子は、曽根と一緒に暮らした無邪気で幸せそうなときの顔と、佐知子と会ったときの悲しげな表情の差が素晴らしい! 細かいところですが、右目に泣きぼくろをつけているのも薄幸そうな効果を増しています。

この二人の助演女優たちに対して、主演の久我美子は意志の強そうな顔立ちがアダとなり、悲劇のヒロインとしてサッパリ感情移入できませんでした。

今作は、過去を隠しながら、つかんだ幸せを必死に守ろうとする佐知子と久子を演じた高千穂ひづると有馬稲子の二人があってこその作品でした。